給料が支払われないときに取れる手段|証拠・時効・請求の順番
最終更新:2026-07-28
未払い賃金は、まず証拠(雇用契約書・給与明細・タイムカード等)を確保し、会社への請求、労働基準監督署への申告、裁判所の手続き、という順で進むのが一般的です。賃金請求権の時効は、2020年4月1日以降に支払期日が来た賃金について当分の間3年とされています。
給料が支払われないとき、最初にやることは?
最初にやることは請求ではなく、証拠の確保です。在職中に集められる資料は、辞めた後では手に入らなくなります。給与明細・雇用契約書・タイムカード・勤怠記録・業務メールを先に手元へコピーしておきます。
- 雇用契約書、労働条件通知書(給与額・締め日・支払日が書かれたもの)
- 給与明細(支払われた分・支払われていない分の両方)
- タイムカード、勤怠システムの打刻記録、シフト表
- 業務用のメールやチャットで、出退勤や業務指示が分かるもの
- 就業規則、賃金規程(会社に備え付けられているもの)
- 口座の入出金記録(実際にいくら振り込まれたか)
会社の資料を持ち出す行為が問題になる場合があります。自分の労働条件や自分の労働時間に関する記録に限って、写真やコピーで残すのが基本です。
未払いの給料はいつまで請求できる?
賃金請求権の時効は、2020年4月1日以降に支払期日が到来した賃金について、当分の間3年とされています(労働基準法115条、附則143条3項)。それより前の分は2年、退職金は5年です。
起算点は「その給料の支払日」です。毎月払いの給料であれば、月ごとに時効が進みます。3年前の分から順に消えていくため、時間が経つほど請求できる金額は減っていきます。
内容証明で支払いを催告すると、その時点から6か月間は時効の完成が猶予されます(民法150条)。ただし猶予は一度きりで、期間中に次の手続きを取らなければ時効は完成します。
請求はどんな順番で進めるのが一般的?
一般的には、会社への直接請求 → 内容証明での書面請求 → 労働基準監督署への申告や労働局のあっせん → 労働審判・少額訴訟・通常訴訟、という順で段階が上がっていきます。前の段階で解決すれば、その先へ進む必要はありません。
- 1
会社に直接請求する
口頭ではなくメールなど記録の残る方法で、金額と根拠を示して請求します。ここでのやり取りも後の証拠になります。
- 2
内容証明郵便で請求する
請求金額・計算根拠・支払期限を書面にして送ります。いつ・どんな内容で請求したかが記録として残ります。
- 3
労働基準監督署に申告する
労働基準法違反にあたる未払いについて、監督署が会社を指導することがあります(労働基準法104条)。手数料はかかりません。
- 4
労働局のあっせん・労働審判を使う
第三者を入れた話し合いの手続きです。労働審判は原則3回以内の期日で終わる、労働事件に特化した裁判所の手続きです。
- 5
訴訟で請求する
60万円以下の金銭請求なら少額訴訟、それを超える場合は通常訴訟という選択肢があります。
労働基準監督署に行けば必ず払ってもらえる?
必ず払われるわけではありません。労働基準監督署は労働基準法違反を取り締まる行政機関であり、会社に是正を指導することはできますが、あなたに代わって未払い分を取り立ててくれる機関ではありません。
監督署の指導で会社が支払うケースもありますが、会社が応じない場合の最終手段は裁判所の手続きになります。金額や証拠の状況によって、どこまで進めるかを決めることになります。
遅延損害金は請求できる?
請求できます。在職中の未払い賃金は民法の法定利率(年3%)、退職後の未払い賃金については賃金の支払の確保等に関する法律により年14.6%の遅延損害金が定められています。
また、割増賃金(残業代など)の未払いについては、訴訟の中で裁判所が未払額と同額までの「付加金」の支払いを命じることがあります(労働基準法114条)。これは訴訟でのみ問題になるもので、話し合いの段階では出てきません。
請求書面には何を書けばいい?
誰が誰に対して、いつの分の、いくらを、いつまでに支払うよう求めるのか。この4点が具体的に書かれていることが最低条件です。金額は「◯月分の基本給◯円」のように、期間と内訳が分かる形で書きます。
- 差出人(あなた)と受取人(会社名・代表者名)の住所氏名
- 雇用契約の内容(入社日、賃金額、締め日と支払日)
- 未払いになっている期間と金額、その計算根拠
- 支払期限と支払方法(振込先)
- 期限までに支払いがない場合に検討する手続き
よくある質問
- Q.退職してからでも未払いの給料を請求できますか?
- A.できます。退職の有無は請求権に影響しません。ただし時効は支払日から進むため、退職後も時間が経つほど請求できる範囲は狭くなります。
- Q.会社が「払えない」と言っている場合はどうなりますか?
- A.会社に支払い能力がない場合でも請求権はなくなりません。会社が倒産した場合には、国が未払賃金の一部を立て替える未払賃金立替払制度があります。
- Q.タイムカードがない職場でも残業代を請求できますか?
- A.打刻記録がなくても、業務メールの送信時刻、入退館記録、日報、同僚とのやり取りなど、労働時間を推認させる資料が証拠になり得ます。
出典
- [1]労働基準法(第114条 付加金/第115条 時効/附則第143条第3項)e-Gov法令検索(デジタル庁)
- [2]民法(第404条 法定利率/第412条 履行遅滞)e-Gov法令検索(デジタル庁)
- [3]労働基準行政の相談窓口(労働基準監督署・労働条件相談ほっとライン)厚生労働省
- [4]内容証明(サービス内容)日本郵便
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